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皆さん、1000年前日本で生まれた修験道ってご存じですか?
修験道とは仏教(寺)と神道(神社)を合わせた宗教で、現在でもこの修験道はいくつもの神社やお寺に受け継がれ、多くの修行者を養成しています。
今回ご紹介する山形県鶴岡市にある羽黒山には900年以上の伝統を誇る『出羽三山神社』があります。実はこの『出羽三山神社』も有名な修験道の修行場で、大晦日、日本三大火祭りの一つである『松例祭(しょうれいさい)』が行われます。
この『松例祭(しょうれいさい)』は、修験者と神社の神主が一緒になって作り上げた神秘の火祭りです。ということで、今回は『出羽三山神社』と、とても寒い山形の冬に行われる、とても熱い祭り『松例祭』のお話しをしたいと思います。
『出羽三山神社』について
『出羽三山神社』の歴史は長く現在立証できるだけでも900年ほどの歴史があります。
『出羽三山神社』は湯殿山神社の神として伊氏波神(稲倉魂命)、月山神社の祭神として月読神、羽黒山神社の祭神として大山祇命、大己貴命、少彦名命を祀っています。
この神様達を祀る三神合祭殿のすぐそばには羽黒山の信仰の起源と言われる、鏡池が今も周囲の樹木を水面に映しながら、羽黒山の長い歴史を伝えています。
『出羽三山神社』の最も不思議な特徴は、神社を開いた歴史の他にこの羽黒山で修験道の修行が始まった歴史が別にあることです。
伊勢神宮や靖国神社など有名な神社は沢山ありますが、神社の建つ場所に別の意味(『出羽三山神社』の場合は修験道の修行道場)があるというような神社は長野県の御嶽山神社や埼玉県の三峯神社くらいしかありません。
この羽黒山という山の頂上にどんな秘密があるのか、探りに行ってみると面白いと思います。
『出羽三山神社』の神秘の宝 羽黒鏡
※写真は一般的な和鏡です。
羽黒山には平安時代から伝わる重要文化財に指定された鏡が約500面もあります。
骨董品や美術商、研究者の間ではこの鏡のことを羽黒鏡と呼びます。羽黒鏡は学術的な専門用語で和鏡(わきょう)という鏡の一部の俗称です。この羽黒鏡は900年前の職人が粋を尽くして作り上げた優美なものであると評されたことで有名な美術品です。
この羽黒鏡は美術品としてだけでなく歴史的資料としても重要なもので、注目されるべき一品と評され、コレクターの中には値段に糸目をつけず収集した人もいると言われています。
その理由は、実は約100年ほど前まで羽黒鏡が合祭殿の近くにある鏡池の水底深くに沈んでいて空気による酸化の影響を受けなかったためだと言われています。
そのため、羽黒鏡は深い黒色の何とも言えない魅力的な色をしています。この魅力的な鏡は現在でも『出羽三山神社』の中にある出羽三山歴史博物館に収められています。
出羽三山歴史博物館には、他にも『出羽三山神社』が修験道の修行場であったなごりから修験道の神である蔵王権現や仏像類が展示されています。それはもう、ここは神社かお寺か区別が出来なくなるほどです。
出羽三山博物館の中は多少暗い所もあるため、これらの仏像は怖くもありますが、怖さの中にも過ごしてきた時間の重みを感じることができます。
『松例祭(しょうれいさい)』について
『出羽三山神社』のお祭り『松例祭(しょうれいさい)』は、実は10月の下旬から始まっています。
『松例祭』は出羽三山で修業した経験を持つベテランの修験者が10月の下旬から山の中に籠って女性、酒、肉を絶って精神と肉体を俗世から離して清め、験力を高めるという修行を100日間行い、その満願(修行の終わり)を迎える日を祝うものです。
『松例祭』では2人の修験者が修行で得た験力をどちら強いかという競い合いをするため、様々な催しが行われます。
例えば、この神社の周辺に住む人達が二手に別れて藁を編んで作った大きな「虫」をみんなで引きずりながら境内を走りその後ろから大松明で火をつけどちらが早く燃えるかによって、験力の勝敗を付けるというものがあります。その炎の勢いたるや本当に激しいものです。
この他にも、ベテラン修行僧と共に修行をした若手の修行者が合祭殿の中で正座したままの体勢でどのくらい高く飛べるかという験力比べも行われます。
はたから見ると不思議なお祭りで何をやっているのかわからい部分もありますが、お祭りの中心である「大松明引き」で見れる炎の様子は単純に圧倒される光景です。
羽黒山の山頂で迎える新年
『松例祭』の諸行事は夜11時頃盛り上がりに達し午前0時にフィナーレとなる新年に新しい炎を灯す神事が行われるように予定が組まれています。
山頂で迎える新年は普通に自宅で迎える新年の何倍も神聖な気持になります。また、12月31日に山頂の羽黒山参籠所「斎館」に宿泊すると1月1日の朝一番で出羽三山神社の御祓いを受けることができます。
斎館は冬期の間、営業する日数が限られますので、出羽三山神社のお正月を迎えてみたい方は注意して予約してください。
最後まで読んでいただきありがとうございました。皆様のご参考になれれば幸いです。
今回の観光地はココ↓です。