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みなさん踊念仏をご存知ですか?
踊念仏とは800年ほど前、一遍というお坊さんによって日本で始められた仏教の念仏の唱え方です。一遍上人のこの踊念仏は民衆にも広まり様々なところで行われるようになりました。
この一遍上人の広めた踊念仏は仏教の一派として確立したのが「時宗」です。東海道の宿場町、藤沢には時宗の総本山である『清浄光寺(通称・遊行寺)』があります。
現在、『清浄光寺(遊行寺)』には広い庭園や立派な本堂、資料館があり藤沢のちょっとした観光スポットになっています。ということで、今回は時宗の総本山である『清浄光寺(通称・遊行寺)』のお話しをしたいと思います。
『清浄光寺(遊行寺)』の見どころ
『清浄光寺(遊行寺)』は700年前この藤沢の土地を治めていた俣野氏によって建立されました。
現在、お寺の敷地の中には放生池と庭園が広がっていますが、江戸時代には江戸市中の金魚の保護所となっていました。現在でも池では鯉が飼われ江戸時代の風情を伝えています。
時宗では踊りながら念仏を唱えることから4月の春季開山忌では踊念仏が奉納され『清浄光寺(遊行寺)』を開かれた呑海上人の御法要が行われます。
また、秋から冬の遊行寺では11月末に御滅灯(おめっとう)という本堂の中に一つのともしびがともされ、一年の懺悔をする行事が行われたり、正月一日の未明には除夜の鐘の法要が行われます。
400年の歴史を伝える『清浄光寺(遊行寺)』の放生池
放生池には上記でお話しした通り、今でも鯉が飼われています。周りの庭園は紅葉する種類の樹木も多く秋冬の外歩きには最適な寄り道スポットになっています。
池の鯉には餌をやることもでき、ちょっとした生き物との触れ合いも楽しめます。
この庭園を左に見ながら、お寺の奥の方に進んで行くと『遊行寺』の歴代の上人を務めてきた方々のお墓やお寺を守る神社が立ち並び、神聖な空気を醸し出しています。
『清浄光寺(遊行寺)』の宝を伝える『遊行寺宝物館』
時宗の開祖である一遍は800年前全国に踊念仏を広めるため歩いて旅をしました。その際当時の様々な土地の様子を絵巻物に記録しました。今では国宝となった『一遍聖絵』はこの遊行寺に代々伝わる貴重な資料です。
『一遍聖絵』の絵は現代の人間にも親しみやすいわかりやすい表現で、吹き出しなどはないものの描かれた人物は誰もが今にも動き出しそうな躍動感を持って巻き物の中で生き続けています。
巻き物の中では一遍上人が赴いた太宰府(福岡県)、善光寺(長野県)、四天王寺(大阪府)、伊予窪寺(愛媛県)等多くの土地の風土が描かれており、まるで一遍上人と一緒に日本一周旅行に出かけたような気分が味わえます。
宝物館には他にも、1000年以上前に念仏を広めた空也上人の木製の立像も所蔵しています。空也上人は今でいう公共事業を京都の町で行う傍ら、口で念仏を唱えながら京都の市中を廻り一般の人に仏教を広める活動していました。
「上人」というのは仏僧の階級の中でも上位で徳の高さを表す称号です。空也上人の場合は、彼が市中で念仏を唱えると念仏の一つ一つが阿弥陀菩薩になり、聞いた人々の心に仏の心を授けるといういわれからこの木造ができました。
こちらも今にも動き出しそうな一品で一見の価値ありの資料です。ぜひ『清浄光寺(遊行寺)』に行った際にはお立ち寄りください。
『清浄光寺』が『遊行寺』といわれる理由と文化
この『清浄光寺』を『遊行寺』と呼ぶ理由は一遍上人が諸国遊行のとして念仏道場を開いたためと思われます。この遊行寺、実は日本の伝統芸能に深く影響を与えています。
日本を代表する伝統芸能、歌舞伎の演目の『當世流小栗判官』という演目や能楽の『遊行柳』が特に有名です。
歌舞伎の『當世流小栗判官』は小栗判官が『遊行寺』の開祖である遊行上人の加護を経て照手姫と結ばれるまでを描いた演目で、『遊行寺』は二人の救出劇の果てにたどり着く大切な場所として描かれています。
また、能楽『遊行柳』では一遍上人の教えを受け継いだ遊行上人が一行を連れて福島県の白河の関にやってきたところで今にも枯れそうな柳の精と出会い、念仏の力によって柳の精を浄土に送るというお話です。このように、『遊行寺』の念仏は昔から高い法力があることで知られていました。
『清浄光寺(遊行寺)』の門前町・藤沢
『清浄光寺(遊行寺)』の境内にはここまでご紹介してきたように様々な施設がありますが、実は『清浄光寺(遊行寺)』のすぐ外にも、面白い観光資源がります。それが東海道藤沢宿を思わせる歴史の説明板です。
藤沢は、『清浄光寺(遊行寺)』の門前町として発展した一面もあり『清浄光寺(遊行寺)』と大通りを結ぶ橋には『遊行寺』の名前がそのまま使われた遊行寺橋がかかっていました。
また、『清浄光寺(遊行寺)』の目の前には平成28年の4月に完成予定のふじさわ宿交流館があり、東海道の旧宿場町であり、『清浄光寺(遊行寺)』の門前町としての藤沢をアピールする観光政策が行われています。
皆さんも、自分の魅力を再発見し観光資源を生み出していく藤沢を訪れて、江戸情緒を味わってみてはいかがでしょうか?
最後まで読んでいただきありがとうございました。皆様のご参考になれれば幸いです。
今回の観光地はココ↓です。